カウンター






――Two wishes and hope――








秋山が店内のフロアに戻り、雑務をこなしていると、暫くしてから水谷が戻ってきた。
先ほどのことを聞きたかったのだが、その後、何故か何でか何なのか、客足が切れることなく休憩なしのぶっ通しでフロアやキッチンで働くことになった。

そして、そんな次の日。

結局、昨日は帰りの時間さえも合わず、水谷の言っていた言葉が何なのか分からずじまいの秋山。
今日こそは聞き出してやる。と、半分意地と自棄が入っていた。

朝のピークが過ぎた10時ごろ。

今が好機!!

と、秋山が思ったかどうかは置いといて、フロアで先ほどの客が座っていたテーブルを片付けている水谷の方へと向かう秋山。

「み――――」

――――カランカラン・・・・

秋山が水谷を呼び止めようとした瞬間に、店の扉が開き一人のスーツ姿の男性が入ってきた。
客の案内をするのは、今は水谷の仕事。

「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」

丁度フロアに居た秋山も客を迎えることになった。
来た男性客は少し前からの常連。
何時も飲むのは決まって、

「シャングリラをホットで」
「畏まりました」

直ぐ傍にいた秋山が注文を取り、そのまま奥にいるユイへと注文を伝えに戻る。
紅茶が入り、トレーに乗せて戻ると、水谷とその男性客が親しげに話しているのが見えた。

知り合いなのだろうか?

そんな疑問が浮かんだが、

「お待たせしました」

一先ず紅茶を客の前に出し、持ち場に戻ることにした。
客の前で私情の話しは控えたほうが良いという判断からだった。




「計、840円になります」

会計を済ませ、出て行く男性客。

「随分と親しそうだったが、知り合いか?」
「私も気になる」
「え?」

帰った後で青年に聞く秋山と少女。
問われた方はきょとんとした顔。

「どうしたんだ?」

と、そこに二階で事務作業を行っていた兄が降りてきた。

「あ、お兄ちゃん」
「3人とも集まって何を話しているんだ?」

不思議そうな顔で此方を見る兄。

「この頃常連の客で、質の良いスーツを着ている男が居ただろう?」
「・・・あぁ居たな」

暫し思い出すように、天上を見上げていたが納得するように、一つ頷いた。

「なんだか水谷君と親しそうに話してたから」
「知り合いなのか?」

少女の言葉に、兄も水谷をみるが、見られるほうは何だか心底困り顔であった。

「どうした?」
「あ・・・あの・・・」
「ん?」
「知らない・・・んですか?もしかして・・・」
「何がだ?」






「・・・・ゴルトフェニックス・・・ですよ、今の人は・・・・」







「ッ!?」
「なっ!?」
「えッ!?」





喫茶店花鶏で店員の絶叫が木霊した。













最初に走り出したのは、カンザキシロウ。

「お兄ちゃん!!!」

その後を追うように、秋山もカンザキに続いて走り出していた。









取り残された二人。
と、同時に・・・・

―――カランカラン・・・

「い、いらっしゃいませ!!」
「いらっしゃいませ!!」




「秋山さんはいらっしゃいますか?」
「ゆ、由良さん・・・?」






遣ってきた一人の珍客。














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えー。ここで一区切り。
続けようかと思ったのですが、中途半端かなと思ったので、
急遽区切ります。

で、ごめんなさい;
全然休息話になってませんでした;
余り回が長いと大変かなと考え、この回に入れてみたのがいけなかった・・。
ごめんなさい。