――Two wishes and hope =
reverse = 3 ――
「お願い・・真司君を探して!早く!!」
取り乱さないよう、必死に自分を抑えている少女を疑問に思い、カン
ザキへと視線を向ける。
しかしカンザキも理由を知らないらしく、無言で首を振るだけだった。
「ユイ、どういうことか説明してくれ」
「・・・今は・・駄目なの・・・」
先を促してもしゃべらない少女は、何かを我慢するかのように、自分両手強く握り締めていた。
「お願い、真司君を探して・・・・手遅れになる前に・・・」
「手遅れ?」
「どういうことだユイ?」
兄にも促されど、固く口を閉ざし、首を横に振る少女の姿に秋山は頷いた。
「ああ。必ず見つける」
「ユイ、どうしてもいえないのか・・・?」
決意新たに、一先ずお茶やお水で一息入れ、兄は妹に再び聞いた。
「・・・ごめん・・・・真司君を見なきゃ・・・言えないの・・・・」
「城戸を見ないと・・・?」
「そうなの・・・・・」
城戸を見てみないと?
ユイの言葉に考え込む秋山。
つまり、城戸にも何かがあると言うことになる。
城戸を・・・は、置いておいて。
見てみないと。
『見る』
・目によって認識する。
1、目によって物事の存在や動きを認識する。
2、眺める。望む。
3、人にあう。
4、夫婦の契りをする。
5、ある出来事に遭遇する。
6、よく注意して観察する。
7、診察する。
8、調査する。
9、試みる。試す。
〜〜広辞苑より〜〜
・・・・・・・・・夫婦の契り・・・・診察・・・・・?
頭の中の辞書から見るの言葉を引き出した秋山氏。
そのまま、要らぬ妄想へ発進。
『城戸・・・真司君だね?今日はどうしたんだい?』
白い部屋。鼻を掠める薬品の匂い。
右手には診察台。
銀色の医療器具が視界に入る。
『なんか、風邪を引いたのか喉が痛くて・・・・』
『そうか、ならまず上着を脱いで・・・』
『え?喉を見るんじゃなくて?』
『心音器で、肺の音を聞くからね』
『ああ、なるほど!!』(上着をまくり)
『ではそのまま自分で持っていて』
ぴと。ぴと。(体に当てる心音器)
『・・・っん』
『どうかした?』
『その・・・冷たくて・・・』
『ああ・・・少し、我慢してくれ』
『はい・・・』
(その後際どい位置に当てられていく心音器)
『ん〜・・・・呼吸はちょっと苦しそうだね。・・・顔が少し赤いけど、熱でも出たかな?』
『い・いや、大丈夫です・・・・///』
『じゃあ、次は口を開いて、喉を見せて』
『あ〜・・・・・』
『(開かれた口の中にライトをあて)ん〜・・・・扁桃腺が腫れて少し、赤くなってるね。じゃあ、薬を出そうか・・・』
『へ・へんへぇ!』
『どうしたんだい?』(くすくす)
『ひ・ひた!ひいふおやえへふはあいおぉ〜!(し・舌!弄るのやめてくださいよぉ〜!)』
『ああ、すまない。とても、可愛らしかったからつい、ね』
『ついじゃないですよ〜・・・・』
『じゃあ、本気だったらいいのかな?』
『え?!』
『もう、私達は夫婦なんだから』
『わ・渡辺先生ッ///!!』
『ほら、苗字で呼ばない。今は2人きりなんだ名前で呼んでくれても構わないだろ?』
『・・・・ぅ〜・・・・か・佳耶(かや)さん・・・・・』
『真司。可愛いよ。もし熱が出ても私が付きっ切りで看病をしよう。医者が直々に看病するんだ。直ぐに元気になるさ』
『・・・・・でも、次の日俺腰立たないのは・・・・やだ・・・///』
『・・・・・う〜ん・・・・それはおいおい』
(注意:まったくの想像であり、妄想です)
「城戸は頬を染め・・・そのまま渡辺に顔を近づけ・・・・・・」
「蓮?」
「どうしたんだ秋山?」
「渡辺・・・佳耶・・・・」
「ワタナベ・・・カヤ?」
「そいつがどうかしたのか?」
「許さん!!!」
「キャッ!」
「うわッ!!」
秋山さん暴走。
「城戸ーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
慌ててソファーから立ち上がり走り出そうと・・・・
「あ、蓮!!」
秋山、お前まだ・・・!!」
たった・・った・・・・・・・・バタン。
「だから、止めたのに・・・」
「お前、まだ本調子じゃないだろうが・・・・」
再び兄によってソファーへと戻された。
う〜・・・・・渡辺・・・許さん・・・・城戸ぉ〜・・・・!!!」
「だめだねこりゃ」
「ああ」
秋山さんが落ち着くまであともう少し。
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