Cat−T−






カウンター








(この話は本編のCAT CAT CATの番外編となります。この前にある秋山氏が黒ネコになる話とは何の関係もありません)





城戸が猫になってから。
いつも異常なほのぼのライフを満喫するアトリ面々。
そんな中、

「散歩?」
「その姿でか?」

場所はいつものようにアトリの1F店のフロア。
城戸を囲っていた手塚とユイ。
猫ベッドでちんまり座っている子猫は言った。

「俺もジャーナリストのはしくれなんだ!!新しい世界を見てみたいって思うんだよ!!」


子猫は一人(一匹)は燃えていた。


因みに、秋山はお出かけ中で、いなかった。







ピチピチチチ・・・・

鳥の声さえずる静かな住宅街。
子猫の視線は普段人の姿で歩くのとは全く違う世界を映し出していた。
道端で咲いている野花、普段であればこんなコンクリートの隙間に咲いている花には気づかなかったろう。
それが、今の自分よりとても大きいのだ。
小人になった気分、城戸はとても新鮮で、おかしな気分を味わていた。



「ただいまー」

城戸用にと、少し隙間を空けた扉から帰ってきた子猫。

「城戸!!!おまえどこ行っていたんだ!?」
「え、えぅ!?」

帰ってきた城戸をいきなり掴む、基抱き上げた2本の腕。
勿論のこと、秋山氏。


「どこって、さ、散歩だけど・・・」
「散歩!?」

散歩と聞いて秋山の眼は釣り上った。

「お前今の自分をわかってるのか!?」
「今の自分って・・ね、猫だけど?」

そんな妊婦さんに言うようなことを言ってもねー。
カウンター席でお茶を楽しんでいた少女と手塚は秋山のセリフに心の中で突っ込んだ。

「猫だからこそ!!誰か猫マニアにつれさらわれたり、カラスの軍団に襲われたりするかもしれないだろう!? 車に惹かれでもしたらどうするんだ!?」

しっかりと抱き込まれ、動くことさえ、少しい難しい城戸。
確かに猫の交通事故は多々ある話だ。
だがしかし。

「大丈夫だって、俺人間だし」

どこがどう危ないのかきちんとわかってるのだ。
車の通りが多い道路、人やカラスが多い場所。
それらをよく理解している。

「それにさぁ・・・・」
「何だ?」

子猫が顔を向けたほうに秋山も顔を向ける。
そこには1枚の鏡。

ちらりと一瞬見えた紅いもの。

「ドラグレッダーがずっと付いてるし」

何かあたら助けてくれるし。






秋山氏、危険なことを教え込み、外出禁止にさせようとした目論見が失敗に終わる。










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