Cat.10






カウンター

日のさんさんと当たる場所でごろ寝。
これぞこの世の至福。
この頃そう感じるようになってきた俺、城戸真司23歳。猫暦1週間。
本日はおばさんの用事でアトリはお休み。仕事も昨日遅くまで残業したため半休ってことで、午前中だけだった。

「あぁ・・・・猫って幸せ・・・」
「すっかり猫に染まったな、城戸」

ユイちゃんの部屋にあった猫用ベッドを店のフロアに持ってきて、日当たりの一番いい場所で寝ていた俺。
今日は何やら占いの店を開かない方が良いと、出たらしく一緒にアトリにいる手塚君。

「なんかさ、のんびりで・・・ふわぁ〜・・・・眠くなるんだよね・・・」
「まぁ、確かに気持ちの良い場所だな」

二人でのんびり。

そんな時。

――キィイン・・・!!!

俺と手塚君は慌てて外に飛び出す。
因みに、飛び出すと同時に俺は手塚君に抱えあげられた。
そのまま近くの公園まで行くと、モンスターが子供達に襲い掛かっているのを発見。

「ゥオリャアアァアアアァァ!!」

手塚君の蹴りがモンスターに命中。
・・・・結構・・・怖いのかも・・・手塚君は・・・・。

「城戸、変身だ!!」
「おう!!」

気持ちを改め、鏡に逃げ込んだモンスターを追うべく、

「「変身!!」」

――カシィイン・・・!!






龍騎とライアのファイナルベントで何とかモンスターを倒す。
と、そのとき。

「ここか、祭りの場所は・・・・」
「あ、浅倉!?」

やばいのが来た!!!

「おいおい、祭りは無いんじゃないの?」
「北岡さんまで!!」

となると・・・

――ソードベント

「せやぁああああ!!!」
「蓮!!」

行き成りウィングランサーで北岡さんと浅倉に攻撃をかます蓮の姿が。

「っと・・!!行き成りとは随分卑怯じゃない。なんちゃら山」
「煩い」
「・・・俺も混ぜろ!!」

俺と手塚君から少し離れた場所。
そこで行き成り繰り広げられたライダーの死闘。

「お、おい!!蓮!!」
「秋山!!やめるんだ!!」

だめだ。3人とも全然聞いちゃいねー!

「どうしよう手塚君!?」

少々パニックになった俺は慌てて手塚君へと指示を仰ぐ。

「・・・・・・・・そうだ!!」

俺の言葉に、暫し何やら考えた手塚君は行き成り俺の肩を掴み、

「城戸、変身を解くんだ!」
「え・・・?」
「変身を解くんだ!!」
「で、でもそうなったら俺猫になっちゃうよ!?」
「いいから、俺を信じろ!!」
「わ・分かった!!」

俺は手塚君に押されるがまま変身を解く。

ぽしゅん。

空気の抜けるような音と共に俺の視線は地面すれすれになった。

「これでいいんだね!?」
「ああ。・・・城戸、一つ想像して欲しい」
「え?」

俺は手塚君に抱き上げられた。

「質問は全て終わってから聞く。今は、俺の言うとおりにしてくれ」
「わ・分かった・・・」
「城戸、お前は今、この子猫の姿でダンボールの中に居る」
「・・・・」
「其処は、今いる公園だ。空はどんよりと曇り、今にも雨が降りそうな天気だ」
(後ろではナイトのトリックベントが発動)


公園のベンチの横。
見上げる塀はダンボール。
俺が子猫の姿で立ち上がっても届きそうも無い。
そして、上に広がるのはどんよりとした灰色の空。
今にも雨が降ってくることを予感させる。


「ダンボールの中には一枚のタオル。そして、小皿には申し訳程度に入れられたミルクと小魚。お前の前を通っていく人は、誰一人としてお前を見ていない。 皆、今すぐ振り出しそうな空を気にして早足にお前の前を通過していく」
(王蛇のアドベント発動により、ベノスネーカー召喚)


ゴワゴワとした感触のタオルの上。小魚は固く、ミルクは冷たくとても食べれたものではない。
今すぐ振り出しそうな空を警戒しながら、早足に過ぎ去っていく人の足。俺の視線からは見えはしない。
けれど、その足音はしっかりと耳に聞こえてくる。
俺はどんどん心虚しくなっていく。


「そのうちにポツリポツリと降ってきた冷たい雨。それは徐々にお前の体を濡らしていく」


ダンボールの上には何ら遮るものは無く、容赦なく降る雨はそのまま俺の体を濡らしていく。
徐々に冷えていく体。俺はどうしようも出来ず、ただただ、誰かに気づいて欲しくて鳴いている。


「み・・・・」
「どんどん雨脚は強まり、箱の中のタオルは濡れそぼり、今お前を温めてくれるものは何もない」
「みゅ・・・・・」
(ゾルダのギガランチャー『一門の大砲』が炸裂)

「そんな中だ。お前の前に青年の姿が・・・・」


ぶんッ!!!


投げられた俺。そして、

びた!!

これからファイナルベントを発動させようとせいていた王蛇の視界が一気に暗くなった。


寂しくて、心細くて、寒くて・・・・
誰か助けて、俺を、ここからだして・・・!!!


「なんだ・・・・?」


「城戸!!鳴け!!鳴くんだ!!城戸ぉー!!!」


「み・・・・」



―― みぃ!!みぃみぃ!!!


ミラーワールドに響き渡る子猫の悲痛な叫び。
それは酷く遣る瀬無さと寂しさを掻きたたせる子猫の悲鳴だった。

そして、


「・・・どうした・・・?」
「浅倉ーーー!!!」

顔面にへばりついていた子猫を優しく腕に抱き、あやす様に喉を撫でやる王蛇。

――みぃみぃみぃみぃ!!!

「泣くな・・・・」


――みぃみぃみぃみぃ!!!

「どうしたの、城戸?」
「北岡さぁん!!」

王蛇の腕からゾルダの腕の中に。

――みぃいみぃい!!

「ほらほら、そんなに泣かないの。帰ったらゴロちゃんに何か、美味しいもの作ってもらってやっから」


――みぃ!!みぃみぃ!!!

「城戸!!」
「れぇん!!」

がしぃ!!!
ゾルダの腕の中からナイトの腕の中へと移動した子猫は、ナイトとしっかり抱き合った。

「泣くな!もう、大丈夫だ!!」
「蓮・・・蓮っ!!」

――みぃ・・みぃぃみぃ!!


「城戸ぉ!!!」
「手塚君!!!」

がしぃ!!!

ナイトからライアの腕へと移動した子猫は、ナイトよりも深くしっかりと抱き合った。

「もう大丈夫だ!!お前はもう捨て猫なんかじゃない!!」
「うん!!俺もう平気だよ!!浅倉や北岡さんや、蓮や、手塚君がいてくれるもん!!!」

――みぃみぃみぃ!!

うっぅう・・・ひっく・・・・

そんな子猫とライアの周りでは小さく鼻をすする音がしてくる。
ライアと子猫の様子に、目頭を押さえるゾルダ(見えるのか?)に、どこか優しさを感じさせる王蛇。
そして、泣いている姿を見せないように、後ろを向くナイト。(だから、見えるのか?)

そして、

シュワシュワシュワシュワ・・・・

「あ、タイムアウトだ・・・」


「城戸、昼は何を食いたい?」
「・・・なんでもいいよ。北岡さん」
「後で、マタタビでもくれてやる」
「ありがとな、浅倉」
「帰ったら温かい湯に入ろう」
「うん。蓮」
「今日は一緒に寝ような城戸」
「手塚君」

子猫を囲ったライダー4人は仲良くミラーワールドを出て行った。




その後ろには。

「・・・・・・」

仮面ライダーオーディーンの姿が・・・・。

――戦え・・・・。

と、言うのかと思いきや、その手には、

―― ♪最後の一口まで夢中〜。美味しく出来たよ銀の○プーン。

缶詰が一つ。







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もっとコメディーにしたかったんだけど・・・・;
これが限界でした・・・・・orz