Cat1.
それはある日の夢の中。
俺は何時もどおりベッドに入り、今日の疲れを癒すため眠りに入った。
はずだ。
なのに、何なんだ。今、目の前にいる奴は。
「仮面ライダー龍騎」
今目の前にいる奴は、この真夏に白い長袖のトレンチコートを汗一つかかず着ており、なにやら暗いイメージを与えそうな感じのする・・・
つまり・・・
「何であんたが俺の夢に出て来るんだよ、カンザキシロウ・・・・」
そう、俺の前にいるのはユイちゃんの兄であり、ライダーバトルの元凶であるカンザキシロウ。
俺は夢の中だと言うのに、酷く疲れを感じ、その場にうずくまった。
俺は今日、仕事が忙しくて疲れて帰ってきて、その上、蓮に夕飯の後片付けを押し付けられちまって・・・・
今日ぐらいゆっくり休ませてくれよぉ〜・・・・
泣きたい気分に襲われた。
「龍騎」
「はいはい、何なんだよ一体!?」
「お前に一つ頼みがある」
「へ・・・?」
どうせ、ライダーの戦いでもっと戦えーだの他の奴のために死ぬのも一つの手だーだの、言うのかと思っていた俺は、予想外の言葉に思わずしゃがんだままカン ザキへと顔を向けた。
「ユイがこの頃元気が無い」
「あ・・・」
そう。何故だかこの頃ユイちゃんは元気が無い。
俺はその理由を知らない。どうやら蓮も知らないらしい。
「お前も、知らないの?」
「ああ・・・」
「そっか・・・」
少女の様子は何時も気にしているが、この頃、見た目だけが空元気になっている気がしてならない。
「そこで、お前に一つ頼みがある」
「・・・何?」
この男も、やはり人間なのだ。たった一人の妹を心配する兄なのだ。
俺はカンザキを見て、そう思った。
だから、素直にカンザキの願いを聞いてやろう、と思ったのだ。
「俺はあまり現実世界への干渉は出来ない」
「・・・」
「だから、お前がユイを喜ばせろ」
「え?でも、俺何が出来るだろう・・・?」
ユイちゃんを喜ばせる。
それは俺だってやりたい。笑ってる顔を見たい。
でも、俺は特技みたいなことないし・・・
サプライズパーティーでも開くか・・・?
金・・・・この際、蓮も巻き込むか。ユイちゃん絡みだったら金出してくれそうだし。
「別に金の掛かることじゃなくて構わん」
「え、でも」
「お前がユイを喜ばせるんだ」
「・・・へ?」
「お前が・・・」
カンザキが俺に歩み寄り、ゆっくりとその手を俺の前にかざした。
その瞬間、頭の中で音が乱反射をしたように感じたのだった。
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