とある日の午後。







本日の天気は雨。
朝から雨がしとしとと降りそいでいる。
そのためか客の足は疎らで、殆ど暇といっていい状態。

結局、

「あ〜もう。お店開いてるほうが経費の無駄だわ!」

の、一声によって早めの店じまいとなった。



片づけが終わってもなんとなく、秋山と城戸の二人は店のフロアに残っていて各々が好きなようにすごしていた。

「蓮、お茶飲む?」
「ああ・・・」

城戸は仕事を、秋山は店においてあった雑誌を読んでいた。

そんな中、

「ねー二人とも。革の靴ってどう磨けばいいの?」

ここの店主の姪っ子であるユイが、この間買ったと自慢していた革靴と靴磨きセットを持って降りてきた。

「貸してみろ・・・」

お茶を入れていた城戸に一回視線を向け、秋山は立ち上がるとユイへと近寄ってセットを受け取り、近くの椅子に腰掛けた。


しゃかしゃかしゃか・・・・

「まずはこうしてブラシをかけて、ごみや砂を落としていく」
「うん」

しゃかしゃかしゃか・・・・


しゅんしゅんしゅん・・・・

台所では湯の沸く音が聞こえる。


しゃかしゃかしゃか・・・

「そうしたら、靴磨きのクリームを歯ブラシなどで取って塗りつけていく」
「うんうん」

しゃかしゃかしゃか・・・・


かちゃかちゃかちゃ・・・・

台所ではティーカップを用意しているのだろうか、陶器の重なり合う音が聞こえてくる。


ふきふきふき・・・

「今度は使い古した布やタオルで先ほど縫ったクリームをこすりながらぬぐっていく・・・」
「これって、暫く置いておかなくてもいいの?」
「特に暫く置いておいたほうがいいとか言うのは無いそうだ」

ふきふきふき・・・・



店内に紅茶の良い香りが立ち上り始める。


「2人とも、お茶が入ったよ〜」
「わ、ありがとう♪」
「お前にしては、良い腕だな」


雨の降る午後。

そんなアトリの一日。






書き物部屋


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実は、当初ギャグを予定していました。
書いていったらなんかほのぼのいけそうでは?
と、なり方向変更。

ちなみにギャグはこちら