――Two wishes and hope = reverse = 5・6 ――
それはある日のOREジャーナル。
何時もどおりに記事の編集や書類制作、その他の雑用に追われる従業員達。
「あ〜・・・・もう!終わらない!!」
「それを言わないでくださいよ〜・・・!!!」
「ひ〜ん!!」
先ほどから山と詰まれた書類の整理をしていた桃井令子と島田奈々子、そして浅野めぐみの3人。
因みに編集長も記事の編集で珍しく大変そうである。
「何でこんなに書類があるのよ!!」
「私のせいじゃないですよ!!」
「私も違います!!」
少し遅れて、
「お、俺は違うぞ!!」
そんなこんなで、本日も大忙しのOREジャーナル。
そこへ、
バンッ!!
「「「「!!??」」」」
勢いよく会社の扉が開かれた。
驚いた社員が一斉に視線を向けると、其処には全身黒尽くめで身長の高い男が一人、立っていた。
一番入口に近かった浅野は立ち上がり、一先ずこう訪ねる。
「どなた?」
ここに来るのは、社員か、この雑居ビルの年老いた大家なぐらいだ。
基本的にインターネットでニュースを配信しているOREジャーナルには、客は殆ど来ないといってもいい。
そして、その見るからに怪しげな男は、何か不思議なのか社内と外の廊下を見比べ、自分の額に手を当てたりしていた。
この忙しい時に・・・・
そんな怒りが浮かぶがここは一先ず社会人らしく丁寧に、
「あのぉ、どなたですか?」
再度問いかける。
すると、黒尽くめの男は頭を二度三度振るとこちらに視線を向けた。
「すまない。ここに、城戸真司というやつは居ないか?」
城戸真司。
それは一応社員ではあるのだが、ここには決しているはずのない人物。
「城戸・・・と、いう苗字の人なら確かにうちの社員に居ますが・・・・」
城戸真司の双子、リュウガは今は取材で出かけている。
浅野は酷くいぶかしんで、相手を見る。
何故この男が名前を知っているのだろう?
「・・・どういうことだ?真司という人間は居ないのか?」
更に問いかけられ、どう応えようかと悩んでいると、記事の編集がひと段落着いたのか編集長である大久保が浅野と男の間に和って入った。
「まず、あんたは誰だ?人に物を聞くときは、自分がまず名乗る。常識だ」
城戸の病院へと向かう車内にて。
「あの人、真司君とどういう関係なんでしょうね?」
と、島田。
「あら、それだったらリュウガ君とも何やら関わりがありそうよ?」
こちらは桃井。
「まさか三角関係!?」
浅野の発言に女性2人は目の色を変えた。
「お、おい!!男同士だぞ!?」
「編集長は黙っててください」
「はい・・・・・」
「まさか・・・?真司君は物心ついた時から病院よ?」
ありえないと、首を捻る桃井。
「そうですよね〜、親戚か・・・数少ない知り合いしか真司君のことは知らないってリュウガ君言ってましたものね・・・・」
浅野の言葉に今度は島田が、
「はっ!!まさか・・・・」
「島田さん?」
「奈々ちゃん?」
不思議そうに見てくる2人をほっといて島田は何やら愛用のPCを開くと、携帯を端末にインターネットを開くと、自社のサイトを開いた。
「こ、これです!!」
「「どれどれ?」」
画面に映っているのは、社員紹介。
其処には社員1人1人の顔写真を載せており、勿論、城戸真司の写真も乗っている。
「これが?」
「どうしたの?」
「わかりませんか!?あの人はこの写真に一目ぼれしたんですよ!!」
「えー?」
「そうかなぁ?」
「それしかありませんって!!」
「だったら、何で同じ顔のリュウガ君には気が行かなかったわけ?」
「そうですよね。リュウガ君のこと、真司君って呼んでましたし。逆に真司君じゃないと分かるとすごく怒り出したし」
黒尽くめの青年、アキヤマレンは城戸真司じゃないといけない理由があるのか?
もし、あるとしたらそれは何なのだろう?
「・・・・雰囲気?」
「あ〜・・・それはちょっとあるかも」
「なるほどなるほど」
浅野の言葉に頷くほか2人。
「記事の内容?」
「そう・・・でしょうか?」
「ちょっと違うんじゃないんですか?」
桃井の言葉に首を捻る二人。
「ふっふっふ・・・・やはり、インスピレーションでしょう!!」
「あぁ!それがあったわね!」
「すっごい奈菜ちゃん!」
島田の言葉に深く納得した二人。
「でも、なんかリュウガ君の様子も少しおかしくありませんでした?」
「そういえば・・・」
「まさか・・・三角関係!?」
「えぇえ!!??」
「あのアキヤマって人は真司君が好きで、リュウガ君はアキヤマって人が好き?」
「でもリュウガ君の真司君への溺愛振りは筋金入りよ?」
「じゃぁ、真司君を巡って、アキヤマって人とリュウガ君が対決?」
「そのほうがしっくりと来るわね」
「私も令子さんと同意見」
議論の結果。
『アキヤマレンは会社のホームページにより、城戸真司に一目ぼれし、以前からの知り合いであるリュウガとは真司をめぐって対立関係にある』
「一目ぼれちょっと現実みから離れてしまうけど・・・それなら全て説明が着くわね」
「あの秋山って黒尽くめの人、結構一途なんですねぇ。そんなホームページに乗っている社員紹介で一目ぼれなんて」
「いいなぁ〜そんな恋、してみたいな〜」
「・・・・真司・・・・頑張れよお前・・・・」
OREジャーナルメンバー、車を運転する大久保はこれからの城戸の未来を不安に感じたのだった。
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秋山の襲来により、活気立つOREジャーナルの面々。
これで社内通信が出来るんでしょう・・・。
女性陣限定で(笑)。