43.留守番電話 2
あの日、俺を庇って亡くなった手塚君。
その日、俺は仕事が遅くなることを告げるためにアトリに電話をかけた。
Trurururu・・・・Trurururu・・・・・
「早く出てくれ〜」
Trurururu・・・・Trurururu・・・・・
――ガチャ
「あ、俺だけど・・・」
『カンザキ宅だ。今留守にしてる。』
「・・・・ぁ」
手塚君が持ってきてくれた電話の留守番応対は、ランダムで流れる。
思わず携帯電話を握る手に力が入ってしまう。
最初の頃はこれを警戒して遅くなっても家の電話じゃなくて、誰かの携帯にかけてた。
そして、この頃は固定電話にかけると必ずしら誰か出ていた。
その癖でまた固定電話にかけたのだが、これが見事引き当ててしまったらしい。
『用があるならメッセージを残してくれ。俺の占いは当たる』
その後流れる発信音。
何も言えずにいる俺。
何で、こんなところで聞いてしまうんだろう。
乗り越えたと思えたのに。
その日の留守番電話には、小さく泣いている声が録音されていた。
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