カウンター
43.留守番電話


電話をかける。

『留守番電話に繋ぎます。御用の方はピーッという発信音の次にメッセージを言ってください』
「あ、俺。今日は遅くなるから夕飯はいりません」

機械の声。
はっきり言ってしまうと寂しい。
それをある日手塚君に話してみた。

「なるほど。確かに味気ないな」
「だろぉ?留守番電話って大抵そうなんだよね」

すると、

「俺の家にある奴は違うぞ?」
「え?」
「声を録音できる」
「いいなぁ!!」
「じゃぁ、持ってくるか」
「え?」

手塚君は次の日、昨日の宣言通り自宅から電話を持ってきた。

「いいの?電話持ってきちゃって?」
「構いはしない。サナコさんと話してここにある奴をこれと交換するということにしたから」
「そっか♪」

声を録音できる留守番電話。
しかも、何パターンも出来るとの事。

「どうせなら住人全員の録音しようよ!」
「それは楽しいな」

そんなこんなで、皆に集まってもらって声を吹き込んでもらう。

「はいカンザキです。只今留守にしているので御用の方は・・・」
「ユイちゃん、それじゃぁ機械の声と変わんないよ」
「え〜・・・だって、何て言ったらいいか・・・」
「折角なんだから、もっとオリジナリティをさ!」
「う〜ん・・・分かった。やってみる!」

結局。

『え〜カンザキでっす!今留守にしているので用のある人は発信音の後にちゃちゃっと用件残してくださいね♪』
『・・・カンザキの秋山だ。用があるならさっさと言って、切ろ』
『カンザキです。今アマゾンに行ってるので、用がある人はメッセージをどうぞ♪』
『え〜っと、今留守にしてます。用がある人は悪いけど、メッセージを残してください。お聞きしだい返しますんで。すんません!』
『カンザキ宅だ。今留守にしてる。用があるならメッセージを残してくれ。俺の占いは当たる』

「ちょ、蓮!カンザキの秋山って何だよ!」
「煩い!!」
「手塚さん、最後の台詞・・・」
「ああ、どうもあれを言わなければ落ち着かなくてな」
「何にせよ、結構オリジナリティの作品になったじゃないの♪」



こうしてアトリに新たな留守電対応メッセージが出来た。





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父の仕事場に、着信音を録音した声に出来る電話が以前あり、
幼い頃の姉の声で、「お父さん電話だよ、電話だよ!」
と、入っていました。