ヴァレンタイン・キッス






バレンタイン・キッスとは、1986年2月1日に国生さゆりがおニャン子クラブ在籍中に出したソロデビューシングル。

バレンタインデーとは2月14日。270年ごろローマで殉教したテルニーの主教聖バレンティヌスの記念日。
ローマの異教の祭りと結びついて女性が男性に愛を告白する日とされるようになった。

日本では菓子メーカーの策略によって、チョコレートを送ることが習慣とされ始めた。




さて、ここアトリ。
普段であれば普通の喫茶店として経営するのだが、やはりお店として、イベント好きな店主として、ここは社会の流れに乗るのが常識。
という、考えの下、バレンタインキッスイベント開催中だった。

とはいっても、昔のさゆりの曲にちなんだだけで、店員からのキスがもらえるとかそんなんではない。
アトリで飲食してくれたお客様に、店主の姪から直々にチョコレートクッキーを手渡されると言った、まぁ・・・軽いイベントなのであった。





数日前。

「えー・・・私いやだよ・・・そんなの」
「なぁ〜に言ってんのよ?ユイ。あんたは可愛いんだから、絶対お客さんがいっぱい着てくれるわよ!!」

少女直々にチョコクッキーを手渡しということは、少女はフルで店にスタンバイしなくてはいけなくなる。
店主はバレンタインデー当日には、少女をレジ係にさせる計画で居た。
そうすれば、どの客にもクッキーを配布することが出来る。

「叔母さん!!私そんなんじゃずっと出っ放しで休憩がないよ!!」
「そんなの若さで何とかしなさいよ!!」
「叔母さん!!」

と、叔母と姪っ子の押し問答の片隅では、

「ユイちゃん、可愛そうに」
「・・・・」
「でも、ユイちゃん以外、うち女の子いないしね・・・」
「ああ・・・」

秋山と城戸はせっせかクッキー作り。
既に練って常にクッキーを作れる状態の種を、冷凍保存してあるアトリ。
城戸と秋山はその冷凍品を輪切りに包丁で切っていく作業だった。

「私だって休みたいよ!!」
「仕方ないじゃない、年頃の子があんたしかいないんだから」
「・・・・・・・っ!!!」

叔母に言われ、しばらく考えた少女の頭に、誰もが見える豆電球が一瞬にしてひらめいた。

ぴこん!

しかも、擬音つき。


「真司君!!!」
「な、何!?」

ちょうどクッキーの輪切りを一段落させていた城戸は、思わぬご使命に冷蔵庫にへばりついた。

「女装して?」
「え・・・・?」
「そうすれば、私、フルじゃなくても大丈夫だから」
「え・・・え・・・?」
「あぁ〜あ、その手があったわね」
「えぇええええーえええーーーええええーーーーーー!?!?!?!?!?」



で。



当日、ちょうど暇で店を手伝うと言う約束を最初からしていた城戸は、既に逃げ道をなくし。



少女に城戸を確保するように言われていた秋山にも捕まってしまい。



泣く泣く・・・・





「俺、お婿にいけない・・・・」
「大丈夫だよ!!可愛いって!!!」
「うぅ〜・・・」


女装させられた。

衣装担当:ユイ
ヘアメイク担当:サナコ
捕縛担当:秋山



その日アトリの売り上げは経営再開してから、最大値だった。










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すみません・・・オチなし。
イベントは苦手な狼です。
クリスマスもクリスマスっぽくなかったし・・・・。
だから、新年も大晦日も書かなかったんです。
でも、バレンタインだからと思いがんばってみたけどこの結果・・・・・。





誰か、この後の城戸氏を書いてくれないかなぁ〜・・・(他力本願)














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