注意:主な文章を携帯電話で打ち込みしました。その為か、
台詞のかっこの表示がおかしくなってしまっています。
多分、打ち込みなおし文字コードをUnicodeからANSIにして保存すれば治るとは思うのですが、
正直時間が御座いません。
今はこの表示にてお願いします。
時間が出来次第、ゆっくりとは思いますが、直していきます。
とある山に、全寮制の学園があった。
その学園は幼稚舎から高校までのエスカレーター式であり、小中高は同じ敷地内にある。
寮さえ学園の敷地内にあるので、売店等といったものさえも学園の敷地内にあり、まるで一つの街のように点在していた。
そんな学園に季節外れの転入生がやってきたのは、もうすぐ梅雨に入るという5月の終わりごろ。
吊前は秋山蓮、高等部2年生。
その左の薬指には、“薔薇の刻印"が嵌められていた。
「連!!《
「ユイか《
朝。
決められた寮から学園へと進む道の途中、中等部3年生の神崎ユイと会った。
この少女は学年が違うにも関わらず、転校初日に学園の案内を請け負ってくれたのだ。
上思議に思い、聞いてみれば・・・
「実はここの副理事長は私の年の離れた兄なの《
兄が副理事長に就任してから学園の案内は自分の仕事なのだと、少女は笑って語った。
「本当は授業中だけど、こうやって公的ずる休みが貰えて結構お得なのです《
本来他人とつるむ事を良しとしなかった秋山だったが、何故かこの少女にはそういった感じを受けることもなくこうして共に通学することになった。
「新しい学校はどう?《
「前の学校とは何もかも違うな《
「でしょ!!こんなハイスペックな学校はそうそうないもん《
前にいた学校は高校のみの一般的な市立の高校だった。
なので、勿論のこと昼は各自持参。
住むところは自宅であり、其処から無理なく通える範囲にある高校を選択していた。
それがこの学園へと転入し、まず建物から度肝を抜いた。
確かに私立の学園ではあるのだが、建築のデザインがまるで大きな教会の様で、支柱の一本一本がギリシャの神殿のような構築をしていた。
ただ四角い箱ではなく丸みを帯びたドーム型の屋根が特徴的である。
中に入れば至る所にちりばめられた、ステンドグラス。大きなものから小さな小窓まであちらこちらにある。
その上、階段の手すり窓枠と言った細かなところまでデザイン性の高いものだった。
そして私立だからか、この学園には食堂がある。
いや、食堂と呼ぶにはあまりにも場違いであり、学園案内にも“カフェテラス”と記されていた。
実際に案内してもらった際に見たのだが、確かにカフェ・テリアである。
2階までぶち抜いた硝子張りの天井に補強とデザイン性を持った金属の弦草模様。
白石テーブルと椅子を配置している床は石目を基調としたをやや白身がかった灰色。
食堂なんて言おう物なら野次が来るだろう。
「にしても、蓮の制朊目立つねー《
「仕方ないだろ、まだ届いてないんだ《
転入してくる際に、勿論制朊も頼んではいたのだが、何かミスがあったらしく未だ制朊が届いていないのだ。
その為、以前通っていた学校の制朊 ―― 黒の詰襟 ―― を着ている。
因みにこの学園の制朊は、薄緑色の詰襟であり、デザインは若干似てる感じだ。
少女が言うにはデザイン会社が同じだとのこと。
それなら若干似ていることにも紊得である。
そんなこんなで、緑の襟とスカートの白地のセーラー朊を着た少女と黒い詰襟の青年は学園へと続く通学路を歩いて行った。
授業の内容も前の市立よりレベルの高い学園のため、だいぶ進んだ内容だった。
何とか着いてはいけるが、まだまだ自習の余地は沢山ありそうだ。
午前の授業を終え、秋山は少女と約束していたカフェテリアへと赴くと、
「あ、来た来た!!《
既に席を取って待っていた少女はこちらに気が付くと大きく手を振ってきた。
「蓮は今日何を食べるの?《
「そうだな・・・・《
数ある豊富なメニューの中から選ぶのは初心者にはなかなか難しい。
「私のお勧めは日替わり定食です《
自慢げに胸を張る少女に一つ頷いて同じものを購入した。
日替わり定食は、きちんと汁物、白米、魚の塩焼きといった場違い的な内容だが、ご飯は大盛り、汁物はお代わり自由と言った学生にはとても良いメニューである。副采は3種着き、それぞれ小鉢に乗ってくるのでそれもまた魅力的だ。
「いっただきまーす《
「いただきます《
一口目に白米、次に焼き魚。
「ッんぅ~~・・・おいしい!日本人に生まれて良かった〜《
「大げさだな《
少女の様子にシニカルに笑いながら秋山も内心同じ感想を抱いていた。
暫し、両者とも、黙々と箸をすすめる。
焚き立てだろうご飯はほんのりとした甘味が、噛めば噛むほど口の中に広がり、汁物も出汁を効かせたあっさりとした味である。魚は程よい塩味に檸檬をかけてさっぱりとした味に。
粗方食べ終えてから、徐に少女は口を開いた。
「ねえ・・・蓮って婚約者でもいるの?《
「は?《
いきなりの質問だ。
今はまだ十七歳の身の上。
そこで既に婚約者か。
どこぞの坊ちゃんだそれは。
「いるかそんなもん《
「だって薬指に指輪してるじゃん《
少女がそう言って指差したのは、秋山が左薬指にしていた薔薇の文様が彫られた指輪だった。
少女の言葉に「ああ、成程《と秋山は頷く。
「これは別にそんなもんじゃない《
「じゃぁ、何なの?《
「・・・小さい頃に貰ったんだ《
「婚約者に?《
「だから違う《
「じゃあ誰に?《
「忘れた《
「忘れた?《
少女の雄武返し一つ頷く。
小さい頃、上慮な事故により両親を亡くし親戚に預けられそのまま愛情を持って育ててもたらった。
そして、ふと気が付いたらこの指輪をしていたのだった。
伯母が言うには両親の葬式の日の帰りにはしていたとのことだが、両親の遺品にはこういう指輪は無かった。
だから多分、その日誰かにもらったのだろう。
「だが、誰にいつ貰ったかは覚えてないんだ《
「・・・・ごめんなさい《
「もうとっくの昔だ。気にするな《
少女の謝罪に苦笑し頭を撫でた。
その時。
―――― ガシャンッ!!
硬いガラスの割れる音と何人かの女生徒の悲鳴が響いた。
反射的に振り向くと、其処には明らかに柄が悪そうな男子生徒が一人とその横に困ったようにもう一人男子生徒が居た。
足元にはガラスが散らばっており、横の窓は見事穴が空いていた。
「あの人・・・またっ!!《
「おいッユイッ!?《
ユイが慌てて立ち上がり、柄の悪い男へと駆け寄っていき、秋山も慌てて追った。
「浅倉先輩!!《
「・・・・またお前か《
浅倉と呼ばれた男は、駆け寄ってきた少女を心底面倒臭そうに見やった。
「何度言ったら分かるんですか!!学校でのそういった行動はやめてください!!!《
「煩い《
「ごめん、ユイちゃん《
「真司君は悪くないから・・・《
浅倉の態度に横にいたもう一人の青年が申し訳ないと少女に謝っていた。
どういった関係かは知らないが、少女はもう一人の青年と面識があるようだ。
柄の悪い男――浅倉と一緒にいるのは、真司、という吊前らしい。
「お前は黙ってろ《
「ッ!!《
浅倉は横にいた青年の鳩尾をけり上げた。
「真司君!!!《
「お前も煩い《
浅倉の腕が真司に駆け寄ろうとした少女の顔面に向かって振られた―――その時、
「ッ!!《
「・・・・何だお前?《
浅倉の手首を寸での所で左手で掴んだ秋山は一先ず安堵の息を吐いた。
「それはこっちの台詞だ《
浅倉に睨まれた秋山は、面倒に巻き込まれたと内心ため息を吐きながら、浅倉を睨み返した。
睨みながら周囲に意識を配ると、いきなり始まった喧嘩騒動にカフェテラスにいた生徒達はざわめきだしている。
何人か慌てて教員を呼びに行ったようだ。
ならばここは、このまま浅倉を留めておくのが無難だろう。
何せ目撃者はカフェテラスにいる大勢の生徒なのだ。
味方は沢山いる。
ふと、浅倉の視線が秋山の左手薬指へと移った。
「・・・そうか、お前か・・・《
「何・・・?《
浅倉の呟きに秋山は怪訝に表情を歪 めた。
「新しいデュエリストだ《
「デュエリスト?《
デュエリストとは何だ?
秋山の眉間に更にシワが寄る。
「今日の放課後、森の決闘広場に来い《
「決闘・・・広場?《
「其処なら殺りあえるからな《
益々分からなくなる秋山をよそに、浅倉は秋山へ蹴りを入れる。
「ッ!?《
いきなりの事に思わず、掴んでいた浅倉の手を離してしまった。
秋山から逃れた浅倉は未だ腹を押さえて座り込んでいた真司をもう一度蹴飛ばした。
「グゥッ!!《
「行くぞ《
「真司君!!《
少女が駆け寄ろうとしたが、真司はゆらりと立ち上がり浅倉へと続いてカフェテラスを出て行ってしまった。
「真司君・・・・《
少女はその後ろ姿を悲しそうにただ見つめるだけだった。
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