君が好き
望めば大抵の物は手に入った。
声をかければ、大体の女は頷いた。
例外だったのは、OREジャーナルに勤める桃井玲子なる人物。
それから・・・
「城戸」
「はひ?」
自宅兼仕事場であるオフィスフロア。
来客用のソファーでは城戸がごろーちゃんの作ったスパゲッティーを食べていた。
城戸がやってきたのが昼飯ちょい前だったので、ごろーちゃんが気をきかせてくれ、城戸も一緒にご相伴と相成った。
ずるずる・・・・
あむあむ・・・・
ごくり・・・・
ごくごく・・・・
城戸は、口に入れていた分のパスタを急ぎ水で飲み込み、俺の言葉を聞こうと視線を向けてきた。
あーあー・・
慌てて飲み込んだから、口周りがトマトソースだらけだよ。
何時もながら・・・・
「ガキだよなぁ〜お前・・・」
「んな!?」
思わず出てしまった俺の言葉に城戸は目を見開いた。
「な、何だよいきなり!!」
「いや、見た目を言っただけであって・・・」
だって、未だ口の周りトマトだし。
「俺のどこが、子供だよ!?」
「口の周り」
俺の言葉に城戸は一瞬固まったとおもったら、慌てて手洗いの方へと向かった。
あそこには洗面台の鏡が一枚、設置してあったな。
そして返ってきた城戸の口元は、元通り綺麗になっていた。
そして・・・
あむ・・・・
ずる・・・ずる・・・
あむあむ・・・
再び始まる食事の風景。
今度は口元に付かないようにだろうか、先程より綺麗に食べようとしているのが分かる。
だから、面白いのだ。
「なぁ、城戸」
今度は、視線だけがこちらへと向いてきた。
食べ方は先程と変わらず、比較的上品のまま。
だから、楽しいのだ。
「お前、俺と付き合わない?」
「ッグ///;!?」
パスタがのどに詰まったのか、慌てて胸を叩きながら、水を飲み干した。
再び口元がトマトだらけとなる。
「・・・げほ・・・・げほ・・・・」
まだ咽ている城戸。
何と無く、俺はそんな城戸の隣へと移動した。
因みに、俺用のパスタは既に完食している。
「きゅ、急に何言い出すんだよッ///!?」
「だってお前・・・見てて飽きないんだよ」
と、耳元で囁けば赤かった顔は耳まで広がり、持っていたフォークを落としてしまった。
――― カラン・・・
陶器と金属のぶつかる音が事務所に響く。
「お、俺・・ききょ、今日は帰りますッ///!」
『ごちそうさまでした!』と、だけ声に出すと、城戸は自分の鞄を掻き抱くように抱え込み慌てて玄関へと走って行った。
残された俺と、空になった城戸用の昼飯の皿。
どさくさにまぎれ、残っていたパスタを全て口に含んでいったのだ。
「クックック・・・・」
俺は腹に手を当て、肩を震わす。
皿と俺、そしてもう一つ・・・・
「どーやって帰るんだよ、アイツは?」
テーブルに残された、城戸の愛車ズーマの鍵。
俺は城戸が顔を先程よりも真っ赤にして帰ってくるまで、腹を抱える羽目になったのであった。
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北岡氏と城戸。
このごろ、攻めが大人げない大人で我儘なタイプなのが個人的ブームです。
そこで、りゅーき内で大人げない大人を出来るのは、秋山氏か北岡氏。
(つまるところ、我儘タイプですね)
俺の物は俺のもの。お前の物は俺の物。といけるジャイアンタイプ。
で、秋山氏でやると、周りとの関係を全て遮断させて監禁にもっていくよな〜・・・
(狼の中でのイメージ)と、なりました。
ここで、皆に見せびらかし、自慢はするが「こいつは、俺のモノだから、触るの禁止」
と、公衆の面前で平気で啖呵切れそうな北岡氏がロックオンとなりました。
なので、これから度々北岡×城戸 or 北岡+城戸的なお話がふえるかも知れません。あしからずー。