雨の日には。
月曜日。
最近仕事が忙しかったため、有給を使って日曜と月曜を2連休にしてもらったのが、2週間前のこと。
前日の予報までは日曜も月曜も晴天で暖かな一日だと告げていた。
なのに。
「はぁ・・・・」
目に映るのは、土砂降りとはいかないものの、見事な雨。
「カーペンターズじゃないんだからさ・・・」
頭の中に流れるのは『Rainy Days and Mondays』。
折角休みを取ったからと思い、忙しかった時に出来なかったことをした。
洗濯は全て、昨日の晴天で見事干しあがり、特に洗うものも無かったため久々に部屋の掃除までした。
なので、今日は街まで出てきたのだ。
なのに。
散歩している途中、曇ってきた怪しい空模様。
もしかしてと思った矢先、急に遣ってきた水の粒。
酷くはないものの、歩くにはちょっと・・・というぐらいの雨に、
城戸は近くの店の屋根下に逃げ入った。
「あーあ・・・」
屋根の下から覗く雨は、まだまだ止みそうもなかった。
暫くそうしていると、城戸の隣に誰かが入ってきた。
「・・・・」
黒い上着に黒いGパン。
その上黒い髪、黒い靴。
全身見事に黒尽くめ。
その相手は未だ降り止まない空を酷く不機嫌そうに眺めていた。
「・・・・・」
「・・・・・」
暫し時間が流れるが、一向に止む気配は無い。
「折角の休みだったのにな・・・」
ぽつりと城戸は零した。
「・・・まったくだ」
独り言で呟いたつもりだったのだが、思わぬ返事に慌てて横を見るが、相手は雨を見るばかり。
「・・・あんたも休みだったのか?」
「・・・そうだ」
どうやら、この男も自分と同じく休みだったようだ。
「俺さ、この所仕事詰まってて、ようやく1週間半ぶりに休みを貰えたんだよ」
「・・・」
返事が来なかったが、これは別に気にならなかった。
「昨日の休みと、今日は有給を使ってさ」
「2連休か?」
「そ」
そして、何となく自分の仕事、今の生活等、色々と話した。
そうこうしていると。
「・・・あ」
「・・・」
雨が止んできた。
そして、ゆっくりと水音が小さくなっていく。
歩くのに支障がなくなるぐらいになった。
「じゃ、俺向こうだから」
「ああ」
そういって、半対方向に歩き出す。
考えてみれば、お互い名前を名乗っていなかったが・・・
「ま、いいか」
そんな月曜日。
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もう直ぐ梅雨だなーと、仕事帰り考えながら今日でした。