アマゾンの秘密。
その日、城戸真司こと俺は同室の秋山蓮と2人で、下宿先のアトリの主、神崎さなこおばさんの部屋の掃除を負かされていた。
「れーん、これも持っていって!!」
「何を、こんなに溜め込むんだあの人は!」
かれこれ掃除を始めてから2時間。
片付いたのは半分ほど。
そう、何故だかおばさんの部屋は物が沢山あり、部屋の外に出す作業だけで時間が掛かるのだった。
俺がダンボールに荷物を詰め込み、蓮がそれを廊下、倉庫に運び入れる係り。
因みに、じゃんけんで決めた。
だって、そうしないと後で言い争いになるだろうから。
で、まぁ今掃除しているおばさんの部屋。
ようやくゴールが見えそうになってきた。
そんな折、
「ん?」
俺は、大きく“アマゾン”と書かれたダンボールを見つけた。
アマゾン?
「アマゾンって、やっぱあれか?」
やはり、おばさんが言ってる同好会の何かだろうか?
むくむくと立ち上がる好奇心に身を任せ、俺はそのダンボールをあけることにした。
がさがさ。
ごそごそ。
「おい」
「・・・・」
がさがさ。
ごそごそ・・・・ゴン!!
「っ!?」
「仕事をせずに何をやっているんだ?」
「った〜・・・・・手加減しろよバカ!!」
「バカにバカといわれる筋合いは無い。で、仕事をそっちのけに何をしていたんだ?」
「どうせ、バカですよ。・・・これ、アマゾンって書かれてたから、おばさんの行く同好会の品なのかなって思ったんだよ」
俺は未だ痛む頭をなでながら、蓮にダンボールを見せた。
「ああ、あれか」
「でもさ、変なんだよ」
「何がだ?」
俺は、蓮にも見えるようにダンボールを広げると、中のものを蓮に見せた。
「これ、どう見てもなんかの人形だよな?」
「・・・・?」
その中に入っていたのは少し古い感じの俗に言うフィギアで。
その他にもバイクのようなものも入っていた。
「なんかさ、モンスターに少し似てねぇ?」
俺は、首に白いスカーフを巻いて、背びれのある人形を取り出した。
「・・・ライダーに似ているような気もするが・・・・・」
そういって、蓮も他のポーズをとる同じ人形を取り出した。
「何なんだろう?」
「・・・?」
俺達は暫し考え、俺はもう一度ダンボールを見た。
「あ」
その中に一枚の紙を見つけた。
それを取り出し、書かれたいた内容を読んでいくうちに、俺はどう表現したらいいのか分からない感情にさいなまれたのだった。
「れ・・・蓮、これって・・・・・・・」
「どうした?」
その紙に書かれていたもの。
『仮面ライダーアマゾン』
十面鬼によって滅ぼされた古代インカ帝国。
長老はその秘宝を守るがため、一人の青年、
ヤマモトダイスケに秘宝の鍵である“ギギの腕輪”
を移植したのだった。アマゾン川流域のジャングル
で育ったヤマモトダイスケは、日本の高坂博士に
会うよう催眠暗示をかけられる。ダイスケは暗示に従い
日本へ向かうが、ギギの腕輪を奪取すべく彼を追う
十面鬼も日本に上陸したのだった。
※ヤマモトダイスケは、生後まもなく飛行機事故に
よって南米アマゾンで両親とともに遭難した日本人。
※その乗るマシンは、ジャングラー。
古代インカ帝国の太陽の石をエネルギーとしている。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・なぁ、蓮・・・・・」
「・・・・・・何だ?」
「これって・・・・・・・・もしかして・・・・」
「・・・・・・ああ・・・・・」
「仮面・・・ライダー・・・・・なのかな?」
「・・・・・・」
「しかも、おばさんのアマゾン同好会って・・・・」
「・・・ぁぁ」
俺達は、そのまま暫し何も言えずにいた。
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おばさんの、アマゾン同好会がこのアマゾンを愛でる同好会であったら面白いなー。
色んな意味で。
参考:ウィキペディア
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