カウンター


31.待っててほしい





その日、俺は蓮と待ち合わせをしていた。

「うわっ!やべ!!」

待ち合わせは午後12時。昼飯食って、そのまま買い物に行く予定だ。
因みに、今12時50分。仕事がちょっと長引いてしまっていたのだ。
待ち合わせ場所まで電車で30分ほど。
俺は慌てて仕事場を飛び出した。
そして、駅まで来てふと、ポケットに手を当てた。

「携帯忘れたぁ〜!!!」

仕事場の机の上に、携帯を忘れてしまったことに気がつき、仕方ないので慌てて取りに戻った。


1時10分を回る。


そしてなんとかOREジャーナルにたどり着く。
休日出勤だったため、会社にはもう誰もいない状態。
慌てて、机に置きっぱなしだった携帯を手に取ると、不在着信が10件。うち、留守録が5件。
恐る恐るパネルを開くと、見事“秋山蓮”で埋め尽くされていた画面。

「あっちゃ〜・・・」

急いで連絡しかえそうとしたのだが、ふと何となく留守録を再生してみた。

留守番サービス1件目
『何をやってるんだ・・・?』

「ぅ・・・」

蓮のちょっと怒った声が聞こえてくる。

2件目。
『音信不通とはどういう考えだ?』

先ほどよりも少し怒りに拍車が掛かった声が響く。

俺はそのメッセージを聞きながら再び駅への道を急いでいた。

3件目。
『城戸、どこにいるかぐらい連絡しろ』

おや?少し怒った声じゃない感じの声だ。

4件目。
『・・・城戸、いい加減に連絡を寄こせ』

それは確実に不安という色で染まった声だった。

そして、

5件目。
『・・・・・・逢いたい』


最後の言葉を聴いた瞬間、急いで歩いていた足が地面を強く蹴りだしていた。

―― 蓮ッ!!

早く面と向かって「ごめんなさい」と謝りたい。

だから、待ってて。






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電話越しではなく面と向かって謝る時には、
きっと約束の時間を50分近く遅れていることでしょう。

きっと、秋山氏を見つけたらそのまま飛びつきそうですね。
城戸さん。