17.地図の無い世界
温暖化が進んだ地球。
日本政府は日本全土の砂漠化を認め、もう東京しか機能していないと発表した。
そんな中、俺は一つの道を見つけてしまった。
「城戸、本当に行くつもりか?」
「ああ。・・・このままこの街にいても野たれ死ぬのは目に見えてるからな」
それは地図に載っていない道。
何故この道がここにあるのか、誰がいつ作ったのか、何故地図に載っていないのか、そんなのは知らない。
今分かるのは、ここに道があるということだけ。
「この先には何があるのか分からないんだぞ?」
「それでも、俺、いくよ」
この環境についていけず、両親は俺が小さい頃に死んだ。
そういった子供を集めて世話してくれる施設に入らされ、そこを抜け出して。
ダウンタウン・チャイルドとして過ごしてきた。
何も望まないし、思いもしなかった。
でも、これだけはどうしてもいかなきゃ行けない気がする。
「ごめんな・・・どうしても、俺行かなきゃいけない・・・そんな気がするんだ」
「・・・分かった・・・何かあったら、必ず戻れ・・・待ってるから」
「ありがとう」
こうして歩き出す。
地図の無い世界を。